ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」を観劇に行った [独り言]
(ネタバレ注意)
“スカーレット・ピンパーネル”、すなわち“紅はこべ”。
バロネス・オルツィー作の、フランス革命時代をイギリス側から描いた冒険小説です。
そのタイトルでブロードウェイミュージカル化されたものが、日本人の役者さんがたで上演されるという事で、原作好きとしては見逃せない、観に行ってきました。
「スカーレット・ピンパーネル」のタイトルで過去に2回、宝塚歌劇団で上演されていますが、それは宝塚歌劇で上演する用にアレンジされたと聞いていました。
当時、観に行って、原作とはストーリーは違うけれど、歌や衣装、舞台装置も素敵で、華やかで面白くて、堪能した記憶があります。
宝塚歌劇団での初演で、劇中の主人公パーシーを演じられたかたが、その後、退団されて、今回、劇中の女主人公マルグリットを演じられるのも興味深いところです。
自分は本場のブロードウェイ版を知らないので、どうしても原作と宝塚歌劇版(以下宝塚版)をベースに語る事になりますが、パーシーは王室とも親しいイギリス貴族、その妻になったばかりのマルグリットはフランスの女優、パーシーと出会う前にフランス革命政府委員のショーヴランと親しい仲であった、その3名を軸に物語はすすんでいきます。
歌声が、まず、素晴らしゅうございました。
今版用の新曲は別、歌詞は宝塚版とは違うものもあるとはいえ、そうとわかる聞き取りやすさ、主役級のかたが耳馴染みの曲を歌い上げられるのに、鳥肌が立つ事もしばしば。
初日から間もない時期に観たので、デュエットは探り探りな雰囲気がありましたが、公演が進むにつれ、よりよくなっていくのはきっと間違いなし。
舞台装置やアンサンブルは、さすがに宝塚版と比べるとシンプル、そもそもアンサンブルの人数が違いますしね。
そういえば、舞台が回らないので、舞台上の役者さんがたが、舞台装置をぐるんぐるん動かしていましたが、あれは安全面的にどうなんだろう。
第一、装置を動かして止めて、それから演技と歌って、忙しすぎる。
動いている装置の間をぬって他の役者さんがたが演じていられるのは、安全的な意味でちょっとはらはらしました。
フランスから大使としてイギリスに渡ってきたショーヴラン、彼に弟を人質にとられスカーレット・ピンパーネルの正体を探ろうとするマルグリットらが一堂に介する舞踏会のシーンがあるのですが、時代感のある楽器の音や、相手を変えながら皆で踊るダンスなど、雰囲気があります。
が、その間に繰り広げられるやりとりは、目が幾つあっても足りない、どこもかしこも見逃せないシーンです。
歌「炎の中へ」からのピンパーネル団の早着がえは見どころの一つですが、一瞬たりとも舞台から目を離してはいけない、とだけ。
二幕の幕開けから舞踏会の場面になるところあたりも目を離してはいけない役者さんがいらっしゃいました。
後半、マルグリットがフィジカル的に強いマルグリットでちょっとびっくりな展開。
でもまあ、状況は違うとはいえ原作のマルグリットも、同じくドレスのままフィジカル的に強いマルグリットですし。
ショーヴランに、フランスを捨てイギリスに渡った裏切り者的な意味で、覚えているならフランス語で歌ってみろ的に侮辱され、歌い始めるマルグリットは、歌い方もかっこよかった。
これだけ強いお姉さんがいたら、弟がややへなちょこなのもむべなるかな。
愛すべきキャラクターではありますが。
宝塚版と比べる事に意味はありませんが、ピンパーネル団が世間の目を誤魔化す為に着飾る事に血道をあげてみせる場面、ピンパーネル団のそれぞれのキャラクターを出しつつ歌う楽しいシーンなのですが、そこだけはなんというか…
例えば小学生男子の集団が、自分たちだけが面白い彼らルールでワーワー、なんか騒いでいる、楽しそうなんだけど、それがずっと続いているとウザくなる感じというか…
某かげきしょうじょの台詞に“ロマンチックな物はよりロマンチックに”とありましたが、宝塚歌劇団は生の人間くささをあえてなのか諸般の事情によるのかわかりませんが出さない事がある、そのシーンにおいては、自分はスマートに楽しい感じが前面に出ていた宝塚版が好みでした。
ステッキアクションもなかったし。
先日観た「ロザリー」にも手を過剰にひらひらさせてお辞儀、がありましたが、あれはミュージカル界共通の何かの揶揄の仕草なんでしょうか、これは一例ですが、笑いが起きているけど笑いどころがわからなかったりしましたが、シリアスなテーマではあれど、コメディーです。
大人数で一斉に踊るシーンがあるタイプのミュージカルではないですが、歌は役者さんも曲も素晴らしく、終幕後は、あー面白かった!と楽しい気分になれます。
そういう舞台がお好きなかたにはおすすめです。
面白かったので久々に自分の中に「紅はこべ」ブームがきて、評価は今ひとつのようですが原作続編が日本語で読めないのがあらためて残念です。
公演期間
2016/10/19(水) ~ 2016/11/29(火)
会場
TBS赤坂ACTシアター (東京都)
梅田芸術劇場メインホール (大阪府)
東京国際フォーラム ホールC (東京都)
[原案・原作]バロネス・オルツィ
[劇作・脚本・作詞]ナン・ナイトン
[作曲]フランク・ワイルドホーン
[翻訳・潤色]木内宏昌(訳詞)
[潤色・演出]ガブリエル・バリー
[出演]石丸幹二 / 安蘭けい / 石井一孝 / 佐藤隆紀 / 平方元基 / 矢崎広 / 上口耕平 / 相葉裕樹 / 植原卓也 / 太田基裕 / 駒木根隆介 / 廣瀬智紀 / 則松亜海 / 他
“スカーレット・ピンパーネル”、すなわち“紅はこべ”。
バロネス・オルツィー作の、フランス革命時代をイギリス側から描いた冒険小説です。
そのタイトルでブロードウェイミュージカル化されたものが、日本人の役者さんがたで上演されるという事で、原作好きとしては見逃せない、観に行ってきました。
「スカーレット・ピンパーネル」のタイトルで過去に2回、宝塚歌劇団で上演されていますが、それは宝塚歌劇で上演する用にアレンジされたと聞いていました。
当時、観に行って、原作とはストーリーは違うけれど、歌や衣装、舞台装置も素敵で、華やかで面白くて、堪能した記憶があります。
宝塚歌劇団での初演で、劇中の主人公パーシーを演じられたかたが、その後、退団されて、今回、劇中の女主人公マルグリットを演じられるのも興味深いところです。
自分は本場のブロードウェイ版を知らないので、どうしても原作と宝塚歌劇版(以下宝塚版)をベースに語る事になりますが、パーシーは王室とも親しいイギリス貴族、その妻になったばかりのマルグリットはフランスの女優、パーシーと出会う前にフランス革命政府委員のショーヴランと親しい仲であった、その3名を軸に物語はすすんでいきます。
歌声が、まず、素晴らしゅうございました。
今版用の新曲は別、歌詞は宝塚版とは違うものもあるとはいえ、そうとわかる聞き取りやすさ、主役級のかたが耳馴染みの曲を歌い上げられるのに、鳥肌が立つ事もしばしば。
初日から間もない時期に観たので、デュエットは探り探りな雰囲気がありましたが、公演が進むにつれ、よりよくなっていくのはきっと間違いなし。
舞台装置やアンサンブルは、さすがに宝塚版と比べるとシンプル、そもそもアンサンブルの人数が違いますしね。
そういえば、舞台が回らないので、舞台上の役者さんがたが、舞台装置をぐるんぐるん動かしていましたが、あれは安全面的にどうなんだろう。
第一、装置を動かして止めて、それから演技と歌って、忙しすぎる。
動いている装置の間をぬって他の役者さんがたが演じていられるのは、安全的な意味でちょっとはらはらしました。
フランスから大使としてイギリスに渡ってきたショーヴラン、彼に弟を人質にとられスカーレット・ピンパーネルの正体を探ろうとするマルグリットらが一堂に介する舞踏会のシーンがあるのですが、時代感のある楽器の音や、相手を変えながら皆で踊るダンスなど、雰囲気があります。
が、その間に繰り広げられるやりとりは、目が幾つあっても足りない、どこもかしこも見逃せないシーンです。
歌「炎の中へ」からのピンパーネル団の早着がえは見どころの一つですが、一瞬たりとも舞台から目を離してはいけない、とだけ。
二幕の幕開けから舞踏会の場面になるところあたりも目を離してはいけない役者さんがいらっしゃいました。
後半、マルグリットがフィジカル的に強いマルグリットでちょっとびっくりな展開。
でもまあ、状況は違うとはいえ原作のマルグリットも、同じくドレスのままフィジカル的に強いマルグリットですし。
ショーヴランに、フランスを捨てイギリスに渡った裏切り者的な意味で、覚えているならフランス語で歌ってみろ的に侮辱され、歌い始めるマルグリットは、歌い方もかっこよかった。
これだけ強いお姉さんがいたら、弟がややへなちょこなのもむべなるかな。
愛すべきキャラクターではありますが。
宝塚版と比べる事に意味はありませんが、ピンパーネル団が世間の目を誤魔化す為に着飾る事に血道をあげてみせる場面、ピンパーネル団のそれぞれのキャラクターを出しつつ歌う楽しいシーンなのですが、そこだけはなんというか…
例えば小学生男子の集団が、自分たちだけが面白い彼らルールでワーワー、なんか騒いでいる、楽しそうなんだけど、それがずっと続いているとウザくなる感じというか…
某かげきしょうじょの台詞に“ロマンチックな物はよりロマンチックに”とありましたが、宝塚歌劇団は生の人間くささをあえてなのか諸般の事情によるのかわかりませんが出さない事がある、そのシーンにおいては、自分はスマートに楽しい感じが前面に出ていた宝塚版が好みでした。
ステッキアクションもなかったし。
先日観た「ロザリー」にも手を過剰にひらひらさせてお辞儀、がありましたが、あれはミュージカル界共通の何かの揶揄の仕草なんでしょうか、これは一例ですが、笑いが起きているけど笑いどころがわからなかったりしましたが、シリアスなテーマではあれど、コメディーです。
大人数で一斉に踊るシーンがあるタイプのミュージカルではないですが、歌は役者さんも曲も素晴らしく、終幕後は、あー面白かった!と楽しい気分になれます。
そういう舞台がお好きなかたにはおすすめです。
面白かったので久々に自分の中に「紅はこべ」ブームがきて、評価は今ひとつのようですが原作続編が日本語で読めないのがあらためて残念です。
公演期間
2016/10/19(水) ~ 2016/11/29(火)
会場
TBS赤坂ACTシアター (東京都)
梅田芸術劇場メインホール (大阪府)
東京国際フォーラム ホールC (東京都)
[原案・原作]バロネス・オルツィ
[劇作・脚本・作詞]ナン・ナイトン
[作曲]フランク・ワイルドホーン
[翻訳・潤色]木内宏昌(訳詞)
[潤色・演出]ガブリエル・バリー
[出演]石丸幹二 / 安蘭けい / 石井一孝 / 佐藤隆紀 / 平方元基 / 矢崎広 / 上口耕平 / 相葉裕樹 / 植原卓也 / 太田基裕 / 駒木根隆介 / 廣瀬智紀 / 則松亜海 / 他
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