蝉

夜。
寝ようと灯りを消した。

それは、はじめ、耳鳴りかと思った。

暗闇の中、動けなくなる。

突然、始まった、蝉しぐれ。

夏、それが聞こえても、おかしくはない。
地上近くなら。

どこに蝉が？

空中、高いところ、外に面している壁側には、窓。

灯りを消したとたんに始まった蝉しぐれ。

蝉は、どこに？

しぐれかと思うような、その数の蝉は、どこにいる？

引いてあるカーテンの向こうの窓。
決して見てはいけない。

深夜に気を逸らす為に読める
　蝉時雨　墾田永年私財法

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